小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「違うよ…」


マユは静かに否定する。


「違うよ!絶対に違う!ナナは悪くなんかない!!」

そう続けてわんわん泣き出した。


「辛かったんだよね…苦しかったんだよね…淋しかったんだよね…!…私が…私があの時…電話に出てたら……!」


実はあの朝、ハルトと別れてホテルから出てすぐにマユに電話していた。


でもマユが電話に出ることはなかった。


―――当然だよ?
朝の5時だよ?


私、そんなこと思ってないよ?

大丈夫だよ?


「違うよ…っ!マユのせいなんかじゃないよっ!」


私は必死に首を振った。

違うよ、違うよ、そう心の中で繰り返しながら。


私たちはお互いをかばい合い、思い合い、泣いた。




ひとしきり泣くとマユは私から離れるとバッグを引き寄せた。



「ヨースケって男のケータイわかる!?」



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