小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「えっ…?」


突然のことに驚きながら答える。


「…知らない。」


「…だよね…。」


マユは出しかけていたケータイを再びバッグに押し込んだ。


ケータイ…。

何するつもりだったんだろう…?

ヨースケに電話…?

まさか、ね…。


私はヨースケにケータイの番号を聞かなかったし、ましてやヨースケでさえ、私のケータイ番号を聞いてくることもなかった。

完全な、アソビ。

確実に一夜限りの暇潰し。

ヨースケにとって都合のよかった浅はかな女。

簡単に付いてきて、
適当にヤれそうな、

そんな隙だらけの女…。

あとはどうでもいい。

後腐れのないように連絡先なんて教えないし、いらなかったんだろうな…。



「……わかった。」



マユは何か考え込むと

「ゴメン。今日は一回帰るね。頭冷やしたいし…また電話する!」

そう言って私の返事も待たずに慌ただしく去っていった。


なんなの…?


私はひとり、部屋に取り残される。


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