小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
「怖かったねぇ、ナナちゃん。」


おばさんは優しく私を抱き締めてくれたけど、
やっぱりもう眠れなくて、
一晩中歯をくいしばって泣いたっけ…。




ママ…


ママ…


いつも心で呼んでいた。


淋しいよって…

そばにいてよって…


そのメッセージをお母さんはいつだって汲み取ってくれた。



退院してきたお母さんと一緒に寝た布団のあったかさ。


忘れない。


一緒にお風呂で歌った歌。


忘れない。



大好きな

大好きなお母さん。






本当はキツかったはずなのにいつだって私の前では笑ってた。


でも内緒で泣いてるの、知ってたよ。


お母さんが私のすべてだった。


ふたりで暮らしてたとき、お父さんがいなくても私のことをお父さんの分まで愛してくれたから、だから幸せだった。


お母さんの心を独り占め出来てたから。


でもお母さんがオトウサンと結婚して、ヤキモチをやいた。



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