小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
私だけのお母さんじゃなくなってしまったことで、チカを疎ましく思ったこともあった。



でも、
お母さんと親子2人で生きてきたあの日々に、

私の心は満たされていたよ…?


必死に働いて、体を壊して、それでも私の前では泣き言ひとつ言わなかったお母さん。


厳しかったおじいちゃんに離婚をしたことで勘当されて、私と二人きりで生きるしかなかったお母さん。


どうしようもなくなって私を殺して自分も死のうと思ったことさえあったって…中学生の時に聞いた。


でも…


なんで思い止まったの…?

そう聞いた私に…


「ナナの笑顔を見たから。」


お母さんはそう言った。


子供の幸せ、

子供の笑顔、

その為ならお母さんはなんだって出来るのよ…。


そう笑うお母さんの顔を思い出した。


ナナの為に生きよう。

ナナは幸せになる権利がある―――。



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