小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
下着を付け、診察室に戻っても涙はとまらなかった。


ただただ泣き続ける私に、先生は同意書という紙と手術の詳細を書いた紙を渡した。


手術の日…

それは明日だった。


「君の体のためにもなるべく早いうちがいいからね。」


先生はそう言ってしばらく泣く私を見つめていた。

涙は止まらない。






私は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま産婦人科を出た。

止まらない涙を止めることなんか出来るはずもなく、ただ流れる涙を拭おうともせず落とし続けた。


人目なんて、

どうでもよかった…。








ようやく家にたどり着き、自分の部屋に入った瞬間、抑えていた感情が洪水のように流れ出した。



「うわぁぁぁぁぁぁん!!」



私は子供のように声を上げて泣いた。



「あぁぁぁぁぁん!!」



どうしたらいいの?



殺したくない…!



でも…



どうしたらいいの…?!



わかんないよ…!




もう…いっそのこと、
このままお腹の子と一緒に……。




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