小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
……ハルト……。


その時ふとハルトの笑った顔が浮かんだ。

あの、困ったみたいに眉を下げたあの笑顔…。


大好きなハルト。


今もちっとも色褪せない好きの気持ち。


ハルト…。


私はたった一瞬でもなんてバカなことを思ったんだろう…。


生きなきゃ…。


私は生きなきゃいけないのに…。


“命”を大切にしていたハルト…。

だからナナコさんの元に行ったんだよね…?


それなのに、私が死んだりしたら…

ハルト悲しむよね…?

そんなこと聞いたら、自分のせいだって、そう思って自分を責めてしまうよね…?


私は一瞬でもそんなことを思ったことを恥じた。


大切なもの。


ひとつずつ落ち着いて見つめてみよう、そう思った。


大切なのはなに?

自分?

自分の楽しみ?

遊び…?



ううん…



違うよね……?





涙は更に勢いをまし流れ続けた。



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