小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
ガチャ───。

夜中に玄関の鍵を開けるととてつもなく大きな音に聞こえる。

誰も起きてませんように‥‥

そんなこと思いながらそぉっとドアを開く。


「───!!」


リビングに人の気配。


「‥‥おかえり。」


そこには無表情の能面を付けたようなお母さんのカオ。


「‥‥。」


「ちょっと座らない?」


「‥‥。」


座りたくなんかない。


お説教されるに決まってる。


言われることもわかってる。


自分が言い返す言葉も決まってる。


くだらない繰り返し。


「‥‥ウザッ。」


「親に向かってなんて口きくの!!あなたいい加減にしなさいよ?」


「…るっさいなぁ!みんな起きるよ?」


週に数回こんなやりとりをする。


「せめてどこに行くのか、きちんと言って出かけて!」 


「なんで?」


「心配だからに決まってるでしょう!」


「意味ないし!私は“ここ”にいるし!」





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