管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
絢は車の免許すらなかった。
取っておけば、配送の仕事とかもできたんだろうなと思うが、
30にもなると今更だし時間もお金も勿体ない。
お昼も仕出し弁当だが、もちろん天引きだ。
適当に気の合う人たちで集まって食べる。大した話題もない。
美容院に行くのも惜しく、駅前の大型店舗で髪だけは切ってもらう。化粧はしない。
見られて恥ずかしいとも思わないし、見せる人間もいない。
幸いスタイルも人並みで、肌はきれいで、パーツも整っていた。
――そうして、地味に地味に。
何となく数ヵ月が経った頃。
父が亡くなり、遺産相続として得たのが隣の市のハイツと何もない土地だった。