管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
「下の階に、若いお母さんらしい人と赤ん坊の声とか、工場勤務らしい男の人、見ましたけど」
「……ああ、昔、心中した親子がいたとか聞いたかな」
「そうなんですか??」
「男はたぶん、何年か前に今の工場の別の管轄の人だ。事故で亡くなったとか聞いたかな。もしかして気に入られたか??」
幽霊相手に、自分が気になったとも言えない。
歓迎はされたが。
「そういえば家賃て、お幾らでしたっけ」
「そんなことも知らないのか??」
蒼真が呆れる。
「もろもろ込みで3万だ。駐車場は別だがな。俺は車使ってないからいいけど。それでも5千円加算だけらしい」
「水道光熱費も込みですか!?」
今の女子寮のマンションより安い。
迂闊なことを言って、値上げされても困る、と
蒼真は後悔した。知っているもんだとばかり思っていた。
いきなり引き継いであれもこれもは気も回らないか。鈍そうだもんな、と蒼真。
「住んでもいいぞ」
「家主は私です!!」
やはり気づいていなかった。