管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
好きだった
休む部屋の確保をして、一旦落ち着いた頃。南科が口を開く。
「もう、僕のこと嫌いになりましたよね」
「わ、私なんかよりいくらでも素敵な人がいるじゃないですか!?」
モテオさんは懲り懲りだった。
人当たりはよく、物腰も柔らかかったけれど不器用だった彼は、営業のノルマもなかなかこなせずにいた。
それでも頑張る姿と見た目に惹かれ、女性社員のファンは少なくなかった。
人がよすぎて押しが弱かったのも弱点と言えばそうだろう。
元気付けるために食事に誘ったのは絢の方だった。
何度かデートを重ねたが、移動が決まりお互い連絡も少なくなっていた。
何があってここに至ったのか知らないけれど、今さら恋愛対象にはならないだろう。
「……南科さん、ご結婚は??」
「……今も、フリーです」
「もしかして、同じ工場ですか??私も今、派遣でプリンターのラインに入ってるんですが」
「ああ、はい、たぶん同じですね。そこの総務課に転職したんです」
「そうなんですか??」
「……もう一度、考えてみてくれないかな」