管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
イケメンだった
「あのハイツ、お前んところの持ち物か」
「はい!?」
お昼を食べようと、別館の食堂で仕出し弁当を手にしたとき、現場責任者の蒼真崇大に、声を掛けられた絢。
「えっと、はい…」
薄い黒縁の眼鏡を掛けた、35歳の蒼真は、文系のすっきりとした、いわゆるイケメンだ。
同じく仕出し弁当を手にしていた。
「出ていかねえからな」
「はあ…」
何のことだかわからない。
「蒼真さん!!」
きゃあきゃあと若い女子の派遣社員が群がる。
「明日から私たちがお弁当、作ってきます!!食べていただけますかっ!?」
「素人の作った飯は食わない主義だ」
冷たくあしらう。
「え~っ?!」
「食べてあげればいいじゃないですか」
「うるさい。ほっとけ」