管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
「……どちら様…??」
ドアを開けて出てきたのは絢と同じくらいの年の女性だ。
背中まで伸びたきれいな艶々の黒髪。ほぼ素っぴんな顔は目鼻立ちがはっきり整い、スリムな体型。
白いシャツブラウスをさらりと着こなし、ベージュのパンツ姿だ。
アジアンビューティという言葉はこの人のためにあるのかと。
絢とは違って仕事も家事もできそうだ。
お互いにきょとんとする。
思わず見とれてしまった絢は、我に返り、
「あっ、あの私、管理人の、園と申します。家賃の受け取りに来たんですが、お留守なら改めます」
何を動揺している、私。
「ずいぶんお若い管理人さんなんですね??もっと年配の男性だったはずですけど」
「あっ、父です。亡くなったので引き継いで」
ふーん?と舐めるように見ると、
「来月くらいから蒼真とは、ここを出て一緒に暮らすことになりました。ではその前にお願いしますね?」
「ああ……そうですか、よかったですね、もしかして、……花井さん…??」
「ああ、ええ。ご存じなんですね??」
なな、何を動揺している。私!?