管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


「妬いていい??」


「えっ」


「……あんまり蒼真さんと親しくすると、妬いちゃうよ??」


「そんな、ことは…」


「今でも結構、妬いてるけどね。…めちゃくちゃにしてしまいたい」


静かに話す声が切ない。


「…慶一郎……さん」


座ったまま後ろから抱きしめ、静かに押し倒された。


抑えている感情が伝わってきた。鼓動さえも。


「僕だけを見てはくれないの??」


どうすれば。


そもそも、この状況を素直に喜べない自分がいる。


幽霊がどうの以前に。


昔、焦がれるほど恋した人が今、再び目の前にいて二人きり。


好きだと言って、なおかつ恥を忍んで妬いてるとまで言ってくれている。


少し前の自分なら間違いなく落ちていた。


それなのに。


何がが妨げる。邪魔をする。
受け入れることを拒んでいる。


「……ごめんなさい」


涙が頬を伝っていた。


ああ、これで、私は一生独り身だ。



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