管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


「今日は来れないの??」


商品の搬入に同行した南科に声を掛けられる絢。


休憩時間の終わりかけだった。
人目も憚らない、この態度はなんだろう。


普通、わざわざ立ち会うこともない。そうそう不備はないし、あれば電話かFAXで報告するまでだ。


けれどあれから南科を避けていた絢は、困惑する。


「今夜、空いてる??」


案外付き纏うタイプだった。
とりあえず、落ち着くためにも距離を置きたいのに。


「あとはこちらで確認しますので。園は持ち場に就け」


「あっ、はい」


助けてくれた!?


ホッとしたが、蒼真には花井がいる。


「人のデートは邪魔しない主義じゃなかったんですか??」


「今は勤務中です。用があるなら終業時間に来ればいいじゃないですか」


にこやかに、冷たく言い放つ。


「あなたねえ」


カチンと来た南科が、言い返そうとしたが、


「女性を泣かせるのも付き纏うのも、よくないと思いますよ」


声を抑えてあしらう。


「誰かさんの二の舞にならないように気を付けてくださいね」


「……っ!!あんた何か知ってるのか!?」


青くなって焦る南科。


「さあ?何のことですかね」


「蒼真さん、これなんですけど」


主任に呼ばれ、


「では、失礼します」


< 50 / 91 >

この作品をシェア

pagetop