管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
「今日は来れないの??」
商品の搬入に同行した南科に声を掛けられる絢。
休憩時間の終わりかけだった。
人目も憚らない、この態度はなんだろう。
普通、わざわざ立ち会うこともない。そうそう不備はないし、あれば電話かFAXで報告するまでだ。
けれどあれから南科を避けていた絢は、困惑する。
「今夜、空いてる??」
案外付き纏うタイプだった。
とりあえず、落ち着くためにも距離を置きたいのに。
「あとはこちらで確認しますので。園は持ち場に就け」
「あっ、はい」
助けてくれた!?
ホッとしたが、蒼真には花井がいる。
「人のデートは邪魔しない主義じゃなかったんですか??」
「今は勤務中です。用があるなら終業時間に来ればいいじゃないですか」
にこやかに、冷たく言い放つ。
「あなたねえ」
カチンと来た南科が、言い返そうとしたが、
「女性を泣かせるのも付き纏うのも、よくないと思いますよ」
声を抑えてあしらう。
「誰かさんの二の舞にならないように気を付けてくださいね」
「……っ!!あんた何か知ってるのか!?」
青くなって焦る南科。
「さあ?何のことですかね」
「蒼真さん、これなんですけど」
主任に呼ばれ、
「では、失礼します」