管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


「初めてじゃないですかね、あの子が女の子連れて来るなんて。あっ、私、崇雲(ソウウン)と申します」


境内の見える和室に通され、お茶を出してくれた住職。


「あっ、園絢と申します」


慌てて挨拶する。


「そうなんですか??お持てになりそうなのに」


ぷっ、と吹き出すと、


「あの子が??まさか!!いいのは顔だけで、性格は相当ひねくれてますからね。親の私が言うのもなんですが」


「はあ…」


確かに霊感がないからと、あのハイツによく住めたものだとは思う。


見えはしなくても、普通気持ちのいいものではないだろうに。


「余計なこと、言わないでくださいね」


境内の掃除も手伝っていた蒼真が帰ってきた。


「檀家さんにも、です」


「あれ、ごめんなさい。もう言っちゃいましたよ。お嫁さん連れて帰ってきたって」


「お父さん!!」


縁側に座ると、


「本当に、そんなんじゃないからな」



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