管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
運転席の背もたれに体を寄せ、シート越しに抱き付いた。
「ああ…いい匂い…」
「……だめ、だめ、ダメです」
絢は、止めようとした。
が、体が。
動かなくなっていた。
金縛りになったようだ。
不思議と恐怖はなかった絢。
むしろ訳もわからず涙が出ていた。
「……蒼真さんのこと、連れていかないでください」
「……園…??」
信号が変わり、クラクションを鳴らされた。
アクセルを踏む蒼真。
「……動かないで…ください…!!」
辛うじて口だけは動かせた。
このまま走っても、事故を起こしてどうにかなるだけだと直感した。
「動くなって言われても」
「どこか、駐車場に停めて…」
言われるままに、すぐ脇のコンビニの駐車場に入って停めることができた。