管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


コンビニから南科が出てきた。


不自然な状態で停められた車に気付くと、車内にいるのが絢と蒼真だとわかった。


コンコン、と助手席の窓をノックする。


「何してるんですか??二人揃って」


「……た、…すけて」


声にならない声が、口だけ動かす。


ただならぬ気配を感じた南科。
が、慶子の姿は見えていないようだ。


蒼真がおかしな気を起こして絢を連れ去ろうとしている。


そう受け取った南科。


運転席側に回ると、ガチャガチャとドアを開けようとし、ドンドンと叩く。


「絢を返せよ!!開けろ!!」


助かる手だてがあるなら蜘蛛の糸でも掴みたかった絢。


「……仕方ないわね」


言うと、後部座席の運転席側のドアを手も使わず開けた。


タクシーのように、不意にドアが開き、吸い寄せられるように入った。


「どういうことですか!?説明してくださいよ!?」


「毒を食らわば皿までよ」


「えっ…!?」


ようやく慶子の姿が見えた南科。


「ひっ……?!」



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