管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
「……やめとけよ。他にいい奴いるだろ…こんなぼろぼろの姿になっちまって」
至るところ火傷の跡が痛々しい。これでは当面、体の自由が利かない。
「私を守って負った火傷です!!」
「責任取るってんなら、お門違い…」
「そんなんじゃありません!!」
居たたまれず、酸素マスクを外すと唇を押し付けた。
柔らかく、温かかった。
「……ホントに責任取れんのか…??俺は面倒臭いぞ?」
少しだけ、表情が綻んだ。
「いいんです!!」
「……たぶんまだ、成仏してないな、あいつは。南科は連れて行かれたみたいだけどな、ハイツの親子に」
「そうなんですか??」
「慶子に、三途の川に引きずり込まれそうになった。向こうに南科と親子が見えた」
「…その親子って…」
「たぶんだけど、慶子が言ってた浮気相手と、できた子供だろ。あそこで待ってたんだ。帰ってくるの」
「………ひどい、南科さん」
「…お前のお陰で帰ってこれたな」
「えっ…??」