管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


そして部屋を出ようとしたとき。


誰かがその腕を掴んだ。
蒼真が、動いている。


「えっ!?なんで…」


「お忘れですか??多奈川です」


多奈川が、蒼真に憑依した。
助け船を出したのだ。


「僕も、貴女に好意を持っていたことはご存知ですよね??慶子さん」


腕を掴んだまま、静かに話しかける。


「大して綺麗でもない僕は、挨拶すら鼻であしらわれましたけど」


舌打ちする絢。


「貴女の我が儘に、多くの人を犠牲にするのはもうお止めなさい」


「うるさい!!」


絢の髪がふわりと浮き、


ビリビリっと照明がフリッカー現象を起こし始める。



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