管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
一週間後。
退院できた絢は、ひとまず着替えを取りに蒼真の部屋に向かった。
朝から高く晴れ渡り、蒸し暑い日だ。
改めて建物を見る。
初めて来たのが昨日のようだ。
やはり壊そう。
ちゃんとお祓いをしてもらって。
「やっぱり壊すんですか??」
背後から声がした。多奈川だ。
「ごめんなさい。居場所、なくなっちゃいますね」
ふっ、とどことなくもの悲しげに微笑むが、
「私がいても困るだけです。家主を困らせては元も子もないでしょう。構いませんよ」
「そのまま残して貸し出すわけにもいかないので」
「どうせタダなんだから、当面、お二人で住めばいいじゃないですか。基本、静かでいいところですよ」
確かに壊すにもお金が掛かるという現実の壁はある。