管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)


「ホントに、坊主の嫁でいいのか」


「頭は剃らないでくださいね??」


ぷっ、と笑う。


「それだけでいいのか」


「もちろんです」


ふと思い出す。


「あっ、でもあの料理の腕は惜しかったですね、副業にできたのに。今はお寺も兼業とかいうのもあるらしいですよ」


火傷した腕を見る。
至るところ怪我はあるがリハビリすれば出来ないことはなさそうだ。


仮に働くとなっても、すぐに出来るわけでもない。


「昔、坊主を継ぐのが嫌で、目指してたことがあったんだ。資格まで取ったんだがな。けど諦めた。まさかお前に食わせることになるとはな」


「あっ、じゃあ、跡地でお店、しません??個人の小さなお店作って」


「前向きだな」


驚く蒼真。


「できねえよ。あんな呪われた場所で」


「お祓いすれば大丈夫ですって!!やってみましょうよ!!なんか建物なくなって、返って清々しました」


隣を見て、


「罰として真理亜さんにも手伝ってもらって!!」


いずれにしてもこのまま派遣会社に戻ることは無理だろう。
重要なポストにいるわけでもない。


ダメなら諦めて他を考えればいい。



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