管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
―――三年後。
籍だけ入れて寺に移り住んだ絢。個人経営の小さな会社で事務を始めた。
その傍らでリハビリに精を出す蒼真のために、内緒で店を作る用意をしていた。
コインパーキングも目論見通りで盛況だった。
その分も足しにして、小さな洋食店をプレゼントできた。
こぢんまりとした、可愛い洋食屋だけれど、ささやかな夢が叶った蒼真は喜んでくれた。
もちろん崇雲に清めてもらって、盛り塩も作った。
墓の跡地というのも嘘らしい。
近場に競合店なく、客の入りもよかった。
「いらっしゃいませ」
持ち前の明るさを取り戻した真理亜も、接客に精を出す。
「来たわよ」
絢の母も友達とランチをしにやって来た。
「結局ここに居付いてしまうのね、蒼真くん。お久し振り」
「ご無沙汰してます」
片足はまだ不自由で、杖を突きながら厨房から出てお辞儀する。
そうだった。昔から知ってたんだ。
「何度も引き留めて、ごめんなさいね??この子に一目会ってほしくて」
「どういう意味!?」
絢が驚く。
「本当は、家賃も安くするから出ていかないでほしいって頼まれたんだ。他の住人の件もあったけどな」