僕は、花本美咲を忘れない
次の日、僕は教室の自分の席でぼんやりと外を眺めていた。


「なぁ、おかしくないか?」

「ニュースでしょ?」

「ああ。花本のニュース、やってなかったよな」


クラスメイトの言葉に、僕は固まったまま動けなくなる。

僕が消したんだ、なんて言えるはずもなければ信じてもらえるはずもない。

僕は何も言わず、その会話を聞いていた。


「でも、信じられないよ。美咲が死んじゃったなんて...」

「そうだよね...私も、信じられない」

「会いてぇな、花本に」


しんみりとする教室。

そしてまた、泣き声が教室に響く。


クラスメイトがこの調子なのだ。

花本美咲の家族が、笑顔でいるはずがない。


それを見て、僕はまた新しく案を見つけた。


【この世から、涙を消してしまおう】
< 11 / 22 >

この作品をシェア

pagetop