僕は、花本美咲を忘れない
リビングに通され、僕はソファで待つように言われた。

飾られている写真、工作。

全てが、花本美咲の弟のものだった。

花本美咲の物は、何もない。

本当に、花本美咲は存在していないことになっているのだ。


それから数十分経って、女性は肉抜きの肉じゃがを持ってきた。


「これでいいのかしら?」

「はい。ありがとうございます」


僕は頭を下げ、彼女の家を出た。

彼女がいた形跡のない彼女の家。


僕は背を向け、彼女の元へ向かった。
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