いるりを見たら思うこと

「いるりの働いてる姿が楽しみだったから、面倒くさくなかったよ」

そう言ったら、「バカ」と言った。「特別、こがしてやるよ」って、偉そうに。

自転車の荷台に、いるりを乗せた。細いし小さいから、本当に軽い。

「夜一」

「なに?」

「ごめん」

「悪いことでもしたの? 俺に隠れて」

「そうじゃなくて」

「じゃあ、なに?」

「いつも口悪くて、怒ってばっかでごめん」

「可愛く言ったら赦してあげるけど」

「またそれかよ」

「どうするの?」

「ごめんなさい」

「媚びてみてよ」

「はっ? 媚び?」

「早く」
< 15 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop