いるりを見たら思うこと
「ごめん、ごめん。はい、嘘」と、いるりの手を引っ張った。こうでもしないとますます怒って遠くに行ってしまう。
「いいよ。怒った」
「ふうん」
「ちっ」といるりの舌打ちを聞きながら、園内の入場券を二枚買ったて、園内を回る。
「夜一、やばい。猿。お尻赤い」
どこを見て興奮してるんだと思ったけど、猿山の猿集団のお尻を指差してげらげら笑いだす。
笑ってくれると、やっぱり嬉しい。
「あれボス猿かな?」と、お山のてっぺんにいる貫禄のある猿を指差す。
「じゃないの?」
「強そうだな」
「そうだね。いるりみたいだね」
「むかつく」と、珍しく笑って返してくれた。