いるりを見たら思うこと
Plain
「あれ? 夜一、眼鏡は?」
教室の中。俺を見つけるなり、大きく口を開けたいるりが、目をパチパチさせながら、俺を見ていた。
「昨日、いるりに壊された」
「昨日?」
気づいてないのも無理はない。昨日、家に遊びに来たいるり。昼寝をしていた彼女の拳が眼鏡にクリーンヒット。
フレームが少し歪んでしまったけど、昨日は帰り際までつけていたから。
「あれ? でも昨日、普通に眼鏡してたよな?」
「つけてたけど、付け心地悪くて修理に出した」
「まじかよ? 見えるのか?」
「うん。コンタクトだから」
「まじかよー」と、口ごもっていた。
「なんか変なの。眼鏡ない夜一」
「まあ、眼鏡があると落ち着くね」