いるりを見たら思うこと
「なにしたの?」と訊くと、思った通り「転んだ」と、素直に痛そうな声を出す。
「足、捻ったかもしれないから、今から診てもらう」と、支えられながら、行こうとするけど、「ちょっと待って」と止めてしまった。
「え?」
「俺、付き添うから、どいてもらってもいい?」
「夜一?」
戸惑ういるりなんて、ほったらかしだ。
その腕を離して、代わりに俺の肩にかけさせた。
「ありがと」と、相手に一応の御礼は言うけど、それ以上に、本当は腹がたっていた。
「夜一、どうした?」と、いるりが訊くけど、ちょっと無言になった。
そのまま歩いて、施設内にある救護室に行ったけど、不在だった。