いるりを見たら思うこと

不用心にもあけっぱなしって。

とりあえず、椅子にいるりを座らせた。

「捻ってるかわかんないね」

ほんとに頼りにならない。

「冷やす?」といるりの足首に触れたら、「大丈夫」と、急に慌てだす。

「変なことしないけど」

「ち……違う。なんか、そこまで痛くない気がしてきた」

「本当に?」

「本当に」

「そう」と、小さく溜め息を吐いた。

「さっき、急に転んだからびっくりしただけ」

「なんで、転んだの?」

「えっと」

「言えないの?」と冷たく言うと、「曲がったら、章吾に真正面からぶつかりそうになって」と、小さく呟いた。
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