いるりを見たら思うこと

さっきいるりを支えていたのは、章吾。俺と付き合う前に、付き合っていた男。

いわば、元彼だ。

そんな彼に支えられて戻ってくるって、俺がどんだけ気分が悪いかわかってない。

「あんまり話すところ見てないから、びっくりした。仲、良かったんだ?」

「いや。あたしも、久しぶりに話したって」

「久しぶり?」

「ああ」

「そういう風に見えなかったな」

「本当だって。転んで、いてーいてー騒いでたら、立ち上がらせてくれて。したら、なんか前みたいに普通に話してたんだよ」

「普通に話せて嬉しかった?」

「はっ?」

「あいつと普通に話せて、安心とかしたの?」
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