HERO
「それじゃあ、健くん、行きましょうか。」
「はい!」
上機嫌の健はサッサと歩き始める。
いつもなら、抱っことかなんとか言うところなのに…
藤居くんは、チラッと私を見て、またニヤッと笑った。
そして、
「…あれ?ママはちょっと車に酔っちゃったのかなぁ。大丈夫ですか?」
そう言って、私と手を繋いだ。
「ママ、きもちわるいの?」
健が少し心配そうに聞く。
「…う、うん、ちょっとだけね。大丈夫よ。隊員さんがいるから。」
そう言って、私も藤居くんの手を握り返した。
ちょこちょこと走りながら楽しそうに前を行く健を見守りながら、藤居くんと二人手をつないで歩ける幸せ。
穏やかな、あたたかいキモチになれた。
夢ならこのまま、覚めないで!