HERO

―――家に着いちゃった。

藤居くんは、健を抱いてベッドまで運んでくれた。

(…帰らないで!)

本当はそう言いたかった。でも…

「じゃあ、またね。ちゃんと戸締まりして寝るんだよ。」

そう言って藤居くんは、私の頭をポンポンとたたいた。


その時…


「…う~ん… お兄ちゃん、帰っちゃうの?」

健が起きた。

「うん。もう遅いからね。また遊びに来てもいいかな?」

「う~、帰っちゃダメ~!いっしょに寝るぅ~!」


(ナイス!健!)

なぁんて心のなかで思った私だったが…

「お兄ちゃん困ってるよ。また遊びに来てくれるから…」
と、母らしく言ってみた。

が…

「そっかぁ… じゃあ、いっしょに寝るか!」


―――えええええぇっ!


そ、そ、そんな思い切ったことしちゃうぅぅぅっ?!


「やったぁ!お兄ちゃん、健のとなりね。」

「よし。じゃあ、ちょっと待ってて。ジャージ持ってくるから。このまま寝たら焼肉臭いだろ?
あ!それとも、今からいっしょにお風呂入るか?」

「うん!入る入るっ!」




…あまりのことに、呆気にとられる私をよそに、藤居くんと健はさっそくお風呂に向かっていった。









なんだろう、この展開は…






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