HERO
「……なにニヤニヤしてんの?」
藤居くんにいきなり言われて、はっ!と我にかえる。
「…ううん、別にぃ。」
やっぱり、なんだかうれしくて、ニヤニヤしちゃう。
「健ちゃんは、幼稚園とか行かないの?」
「来年からいくつもり。」
「ふぅん、そうなんだぁ… 健ちゃんなら、もう早く友だち作れる環境に入れてやった方がいいんじゃない? あの子の性格的にも、その方がいろんなこと吸収して、もっといい感じになりそうだけど…」
―――あ… また涙出そう…
雅史とも、こういう話ってほとんどしたことがない。
子供を育てるって、本当はこうやって、何気ない会話がきっかけで、相談できたり、意見を言い合ったりしながらしていくものなんだろうな…
そういうの、ぜんぜん出来てなかった…