HERO
「ありがとう。なんか、すごく…元気でた。久しぶりに笑った気がするし…
また…
また会ってくれる?」
藤居くんはちょっと照れくさそうにそう言った。
「うん!」
私は思いきり笑顔で答えた。
なんとなく、そのまま手を繋いで車まで歩いた。
――――離したくない…
そう思っていたら、藤居くんが、つないでる手を離さないまま車に乗り込んだ。
運転席に座った藤居くんは、つないだ手をグイッと引き寄せてもう一度私を抱きしめた。
今度は私の胸に藤居くんの顔がうずまる…
いとおしさが倍増して、私はまたしっかりと抱きしめた。
「…おやすみ、ひとみ。」
「おやすみなさい…」
もう一度だけ、チュッとキスして、離したくない手を離し、車のドアを閉めた。
ニッと笑って、藤居くんは帰っていった。
私は、藤居くんの車が見えなくなっても、しばらく見送り続けていた。