HERO
私は、家に入ってすぐ、藤居くんに電話をかけた。



……………



「…もしもし。 」


「あ…ひとみです。」


「うん。どうした?」


「…あのぉ、えっとぉ…、藤居くん、ヒーローショーは近いうちにないかなぁ。健が観たいんだけど。」


「…健?ひとみじゃなくて?」


そう言いながら、意地悪そうに藤居くんが笑った。



「……う~ん… 健です。今回は。」



あんなに決心した手前、私自身が認めたくなかったりした。

で、健が泣いちゃった話をした。

「そっかぁ。さみしかったんだぁ。近いうちにはないなぁ…。今日さぁ、ひま?」

「きょ…今日は、健もいるし、会えないんだけど…」

「家にはいるんだよね?」

「うん、いるけど…」


「あ、そう。わかった。じゃあ、また連絡するわ。」


「えっ?う…うん、またね。」




――――あっさりと電話を切られてしまった。







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