HERO
「健~、よかったねぇ~」
満面の笑みで握手してもらっている健を見て、ウルウルしてきちゃった私…

体の痛みも爽快なものになりつつあった、そのとき…

「…ひとみ。…ひーとーみ!」


………んっ?
誰かが私を呼んでいる。

誰?

どこ?


「…ひとみ!俺だよ、俺!」

……………俺?


……えっ?


ええっ????

ウカレブルーが私を呼んでいる?!


「…あのぉ、いつも見てますけど、生で会うのは今日が初めてですよねぇ。」


「後で楽屋にきてくれる?」


な…なぬぅ?!

「い…っ 行きますっ!」


…でも、なんで?

やだぁ、ラッキー!

「健! 後でまたウカレンジャーと会えるんだって!…何でか知らないけど…」


ほんとに、何でか知らないけど、とりあえず、握手会が終わるのを待って、楽屋近くをうろついていた。


「高島さん。どうぞ。」

「は、はい!」

…なんで名前を知ってるのぉ?
…しかも、旧姓。


私たち、悪の軍団に狙われてたりしたのかしら…


もう、頭の中、収拾つきません…



楽屋と言っても、テントみたいなもんで、その帆布の切れ目から、そぉ~っと中をのぞきながら、健の手をぎゅうっと握りしめ、恐る恐る中へ…
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