HERO

「よぉっ!久しぶり!元気そうだね。」

ジャージ姿のさわやかな雰囲気の見知らぬ男の人が、にっこり笑ってそう言った。


――――あ…!

『見知らぬ』じゃない!

めちゃめちゃ知ってる!


「ふ…藤居くん?!」



驚く私を見て、彼はまたにっこり笑った。


彼は、藤居 浩史くん。

高校の同級生。


私は、彼と高校で同じクラスになり、陸上部で苦楽を共にした。

なぜだか、初対面から気が合って、お互いの家にもよく遊びに行ったり、恋の相談もしたものだった。

卒業してからも、ふたりでよく出掛けて…




そぉいえば、遊びに出かけた帰り道、夕暮れのキレイな空を眺めながら、彼の車の中で、ちょっとだけキスしたことがあったっけ…




はっ!
いけないっ!
感傷にふけってる場合じゃなかったわ!






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