HERO
一呼吸置くために、私はまた、あのローズのお香を焚いた。
ゆっくりと立ち上る煙と共に、部屋の中に甘い香りが広がり始めた頃、あえてゆっくりとケータイを開き、メールをみる…
「…あ!藤居くんからだ!…なぁんつって。」
なんて、バカなことを言いながら。
顔がほころぶ…
心臓がドキドキする…
ケータイを持つ手がちょっと震える…
《一件のメールあり》
《from 藤居くん 件名なし》
待ち受け画面の表示まで、まじまじと見たりして…