HERO
「呼んどいて何なんだけど、オレ、次のショーの準備なんだよね。これ、連絡先だから、また連絡してよ。めしでも食おう。」


「あ… はい。」



藤居くんから渡されたメモには、ケータイ番号とメアドが書いてあった。


「ねぇ、ウカレンジャーはどこにいるの?」

健の声で、はっ!と我にかえった。



「…あ、あのねぇ、なんか、ウカレンジャーはまた悪の軍団をやっつけに行ったみたいよ。また来ようね。どおも、おじゃましましたぁ。」

彼は、そそくさと退散する私たちを、あの頃よりもっとやさしい、くしゃっとした笑顔で見送ってくれた…

私は、一度だけ振り向いて、

「連絡するね」と、健に気付かれないように、彼にサインを送るのが精一杯だった。






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