喪失の蒼

空気が止まる。世界が凍りつく。上手く呼吸が出来ない。
どうやって今までわたしは呼吸をしていた?
苦しさに耐えかねて逃げるようにその場を去る。

それにわたしは上手く笑えていただろうか。きちんと祝福の言葉を吐けたのだろうか。
あんな言葉なんて聞きたくなかった。言いたくなんかなかった。あの人が誰かの隣で幸せそうに笑う姿なんて見たくなかった。

なんでわたしじゃないの。わたしの方が先だったのに。
抱き締められた時の腕の中の暖かさや、大きな掌で撫でられた心地よさや、優しい声で名前を呼ばれた時の幸福感を最初に知ったのはわたしだったのに。
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