あなたとわたしと、そしてあなたと。
コンコン


「先生、お風呂上がりました。」


「え?!あ…もうそんな時間でしたか…分かりました。」


部屋から何かを抑えたような、静かな声が聞こえる。


「先生…少し、お話しても構いませんか?」


「え…?あ、あぁ…大丈夫だよ。」



私達はドア越しに会話を始めた。



「先生…今日元気ないです。さっき言っていた理由の他にも、何か原因があるのではありませんか?私が悪ければきちんと反省します。
大切な先生が苦しんでいるのは私も辛いんです…もし私でよければ、お話してくれませんか?」


「真里愛さん…」


ガチャッと先生がドアを開ける。


先生は一瞬とても苦しそうな顔で私を見つめ、そして私を抱きしめた。


いつもにないような声で私の耳元で囁いた。


「僕の気持ち…聞いてくれるの?」



「も、もちろんです…!」



すると先生は私の腕を引っ張るとベッドに私を突き放すと逆転した視界に私の上に乗る先生が見える。


先生はカッターシャツのボタンを少し外すと私を押し倒した。


そして…



「んっ…んぅ…せ、せんせ、っ…」



「ん…はあ…ま、り…あさ…」



先生が突然に唇を重ねる。



「っは…せ、先生…?いきなりどうし…」



苦しさから開放されたと思えばまた唇を塞がれた。


それは数分だったのかもしれない。だけど私には何時間も時が流れたような気がした。



キスを終えると先生は追い詰めた顔をして口を開き、私の頬にそっと手を添える。


「ねえ…真里愛さん。ずっと…ずっと前から好きなんだ。ねえ…愛してる。」


突然の言葉に私は狼狽えた。


「あの男のところに行ってしまうんですか…?」


「大好き…離れないで…」



こんな先生は初めてだ。


あの男…アスランさんのことだろうか。


今、こんな状況なのにアスランさんの名前を思い出しただけで胸が熱くなる自分に激しい罪悪感を感じる。


「えっと…先生。私達、いつも一緒じゃ無いですか。離れたりなんて…」


先生は少し眉間にしわをよせると


「そんな中途半端な返事じゃ駄目です。僕は今までずっとこんな自分を貴女に隠してきたんです。醜い男でしょ?貴女を誰にも取られたくない。僕だけの…って思ってしまう自分がいるんですよ…」


「せ、先生…ひぁっ」


先生はそういうと私の首筋に唇をあてた。


何度も何度も。


何度も先生は「好き…」と言っていた。



その日はそのまま二人とも疲れて気付けば寝落ちしてしまったのだった。





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