あなたとわたしと、そしてあなたと。
それは表沙汰には出なかったが相手方の会社がきちんと謝罪をさせて欲しいと申し出てくれたので後日その会社に出向くことになった。
対面で座り、
取締役の方や幹部の方たちが頭を下げる。
「本日はお忙しい中ご厚意賜りまして誠にありがとうございます。
先日の件について、大変申し訳ありませんでした。弊社としても今後建築の仕事を担っていく上で此度のような事が起こりませんよう厳重に対処致します。」〜と話が始まった。
先生と取締役の方だけの話があったため、私は席を外し、会社備え付けのベンチに座っていた。
「ん?あの時の嬢ちゃんじゃねえの。」
聞き覚えのある声。
ふと前を見上げると…前の…!
不覚にもドキッとしてしまった。
この感覚が私には何なのかは分からない。
ただ、この人に会いたかった。
それだけ。
私は慌てて立ち上がると
「お久しぶりです。先日は本当に申し訳ございませんでした…!」
私が謝罪の言葉を述べるとその人は一瞬難しい顔をしたあと私の手をそっと握ると
「良いってことよ。でも、俺ぁありがとうって言ってくれたほうが…嬉しいねえ。」
と少し笑うと手を軽く持ち上げ自分の口元に持っていく。
自分でも顔が熱くなるのが分かる。
その人に触れられた手から全身が熱くなっていくようだ。
「す、すみません…!ありがとうございます!」
私が慌てて返事を返すとその人はにこっと笑った。
「あ、そういや、何で今日はここに来てるんだい?」
その人は横にあった自販機で自分のお茶を買うと私の分のジュースまで買ってくれて「ほらよ」と差し出してくれた。
「ありがとうございます…!えっと、先日のことで、話し合いに。」
と答えるとふーん、と言わんばかりに頷いた。
「で、嬢ちゃんの名前は何て言うんだい。」
「あ、はい。聖川真里愛と申します。」
「真里愛ちゃんね…可愛い名前だね。
あー、俺はアスランってんだ。」
やっぱり海外の方なのだろうかと首をかしげるとアスランさんはそれを見透かしたように答える。
「俺ぁトルコと日本のハーフだ。その、トルコ人はスキンシップとか結構するから嫌だったらすまねえ。嫌だって言ってくれな。」
トルコ人だったのか。
道理で中東系のとても綺麗な顔をしている。
「何でべらんめぇ口調なんですか?」
率直過ぎただろうか。と自分でも思っていたがどうも気になってしまったのだ…
「ああ、俺ぁ東京下町で育ったんだよ。まあ、もうだいぶ薄れちまってるけどな…」
「そうなのですね。」
「嬢ちゃん、俺の事が気になるのかい?」
「そ、そ、えっ…そういう訳では…!」
アスランさんの大人の余裕を含んだ怪しげな笑みにまたドキッとし、自分でも気付いていなかった気持ちを当てられたようで私は顔を赤くし慌てた。
アスランさんは笑みを深めると私の耳元で
「なあ…俺ぁ、また嬢ちゃんと会いたいんだけど…ダメかい。」
と色気のある低い声で囁いた。
もし、アスランさんが悪い人だったら、危険なことに巻き込まれていたかもしれないのに、そんなことなんて考えられなかった。
また会いたい。
ただ、それだけ。
私はアスランさんと電話番号を交換した。
私は経験したことのない感覚に、少し大人になったような、そんな気分だった。
対面で座り、
取締役の方や幹部の方たちが頭を下げる。
「本日はお忙しい中ご厚意賜りまして誠にありがとうございます。
先日の件について、大変申し訳ありませんでした。弊社としても今後建築の仕事を担っていく上で此度のような事が起こりませんよう厳重に対処致します。」〜と話が始まった。
先生と取締役の方だけの話があったため、私は席を外し、会社備え付けのベンチに座っていた。
「ん?あの時の嬢ちゃんじゃねえの。」
聞き覚えのある声。
ふと前を見上げると…前の…!
不覚にもドキッとしてしまった。
この感覚が私には何なのかは分からない。
ただ、この人に会いたかった。
それだけ。
私は慌てて立ち上がると
「お久しぶりです。先日は本当に申し訳ございませんでした…!」
私が謝罪の言葉を述べるとその人は一瞬難しい顔をしたあと私の手をそっと握ると
「良いってことよ。でも、俺ぁありがとうって言ってくれたほうが…嬉しいねえ。」
と少し笑うと手を軽く持ち上げ自分の口元に持っていく。
自分でも顔が熱くなるのが分かる。
その人に触れられた手から全身が熱くなっていくようだ。
「す、すみません…!ありがとうございます!」
私が慌てて返事を返すとその人はにこっと笑った。
「あ、そういや、何で今日はここに来てるんだい?」
その人は横にあった自販機で自分のお茶を買うと私の分のジュースまで買ってくれて「ほらよ」と差し出してくれた。
「ありがとうございます…!えっと、先日のことで、話し合いに。」
と答えるとふーん、と言わんばかりに頷いた。
「で、嬢ちゃんの名前は何て言うんだい。」
「あ、はい。聖川真里愛と申します。」
「真里愛ちゃんね…可愛い名前だね。
あー、俺はアスランってんだ。」
やっぱり海外の方なのだろうかと首をかしげるとアスランさんはそれを見透かしたように答える。
「俺ぁトルコと日本のハーフだ。その、トルコ人はスキンシップとか結構するから嫌だったらすまねえ。嫌だって言ってくれな。」
トルコ人だったのか。
道理で中東系のとても綺麗な顔をしている。
「何でべらんめぇ口調なんですか?」
率直過ぎただろうか。と自分でも思っていたがどうも気になってしまったのだ…
「ああ、俺ぁ東京下町で育ったんだよ。まあ、もうだいぶ薄れちまってるけどな…」
「そうなのですね。」
「嬢ちゃん、俺の事が気になるのかい?」
「そ、そ、えっ…そういう訳では…!」
アスランさんの大人の余裕を含んだ怪しげな笑みにまたドキッとし、自分でも気付いていなかった気持ちを当てられたようで私は顔を赤くし慌てた。
アスランさんは笑みを深めると私の耳元で
「なあ…俺ぁ、また嬢ちゃんと会いたいんだけど…ダメかい。」
と色気のある低い声で囁いた。
もし、アスランさんが悪い人だったら、危険なことに巻き込まれていたかもしれないのに、そんなことなんて考えられなかった。
また会いたい。
ただ、それだけ。
私はアスランさんと電話番号を交換した。
私は経験したことのない感覚に、少し大人になったような、そんな気分だった。