その背中、抱きしめて 【下】
★絡み合う想い★
ヤキモチだらけ
「スポーツテストの後に部活ってキツイ…」
2チームに分かれてのゲーム形式練習を終えて、5分間休憩に入った。
春休みからこのゲーム形式だけ私は選手っぽく男子に混ざって参加してるけど、今日はさすがにきつかった。
「お前走るのほんと苦手だもんな。遅いくせに体力消耗激しすぎ」
羽柴くんが笑いをこらえきれずに震えながら言う。
「”遅いくせに”って余計!遅くたって体力消耗するんですー」
舌を出して”べー”ってしてやった。
座って下を向いて首の後ろを伸ばしていたら、床に影ができた。
その影に気付いて顔を上げると高遠くんが目の前にしゃがんでる。
「高遠くん。どうしたの?」
「今日一緒に帰ろ?」
?
昨日も一昨日も…内村さんのあの一件以来、一緒に帰ってるのに急にどうしたんだろ。
「…うん。そのつもりだよ」
「じゃあまた帰りね。休憩終わる」
そう言い残して高遠くんは立ち上がってコートに向かった。
(何で改めて一緒に帰ろうなんて言ったんだろ)
もしかして、何かあらたまって話があるとか…。
まさかまた内村さん!?
だんだんモヤモヤしてくる。
高遠くん、何で毎日一緒に帰ってるのに…。
(あーもう!何でたった一言でこんな心が乱れるかな!高遠くんのバカぁ!)
早く部活終わってよ。
早く不安から解放されたいよ。