その背中、抱きしめて 【下】
「…もう色々ビクビクしちゃうんですよ」
涙が止まってきて、鼻をすすりながら高遠くんにちょこっと抗議する。
「…ごめん」
私の心情を察してくれたのか、高遠くんが悲しそうな顔で少しだけ微笑む。
「信じてるけど。高遠くんのこと信じてるけど、でも内村さんみたいな積極的な子だと不可抗力とかもあるし。なんたって高遠くんモテるからさ…」
特に、今年の1年生はかなり高遠くんファン多い。
もちろん2.3年生だってファンはいっぱいいるんだけど、1年生はキャーキャーすごい。
まるでアイドルとおっかけみたいな感じにすら見える。
「…もしかして、先輩それヤキモチ?」
「えっ?えぇ!?」
ビックリして見上げると、高遠くんは嬉しそうに笑った。
「先輩にヤキモチやいてもらったの初めて。すっげ嬉しー」
本当に嬉しそうに笑う高遠くんの顔に見惚れた。