その背中、抱きしめて 【下】



「しばらくは今まで通りでいいよ」


私の家の目の前で、高遠くんがため息をつきながら苦笑した。


「ごめんなさい…」


どうしても恥ずかしくて高遠くんを名前で呼べない私に根負けした高遠くんが、呼び方そのままでいいって言ってくれる。

ため息交じりの苦笑いが私に重くのしかかって、下を向いて謝った。


「いつか名前で呼んでよ」


私の頭をポンっと叩いて、高遠くんは帰って行った。



高遠くんの名前、呼べるようになるのかな。

私の名前、呼ばれても平気になるのかな。



やっぱり慣れない。

たしかにお互い今の呼び方じゃただの先輩後輩っぽいけど…。

いつか…いや、なるべく早くカレカノっぽく呼び合えるように頑張ろう。。。


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