その背中、抱きしめて 【下】
部活が終わって着替えてる間中、女バレの部室は今日の内村さんの話題で大騒ぎ。
「ちょっと何なの!あんなにあからさまに翔くんに近づく女、うちらの学年にいないんだけど!!」
「翔くんは見てるだけでいいんだよ!目の保養だから!なのに近づくなっつーんだよ!!」
そう憤慨してるのは新2年生。
「ゆず先輩、悔しくないんですか!?『私、彼女だから』っつって一蹴してやってくださいよ、あんなクソガキ!!」
女バレのみんなも私が高遠くんと付き合ってるのは快く受け入れてくれてる。
みんなの憧れの高遠くんだから、これが漫画とかだったら私思いっきりイジメ受けてるだろうけど。
(みんな優しいーーーー…ホロリ)
「でも、あの子かなりクセあんね。男バレのマネになんかなったら大変なんじゃない?」
さくらちゃんも心配そうに言ってくれる。
「高遠くんだけに執着してるうちはマネやってほしくないな。みんなのまとまりとかもなくなっちゃうような気がして…。ちぐはぐしちゃいそう」
「たしかにね。でもあの子が高遠くん離れするのって可能性薄くない?」
たぶんその通り。
きっとあの子は高遠くんから離れない。
そのくらいの強い執着心を感じる。
「高遠くん離れしなくても、せめてちゃんとマネージャーとして振る舞ってくれればいいんだけど」
「んなことできるわけないじゃないですか!絶っっっっっっ対ムリですよ!!入部拒否とかできないんですかね、顧問とか部長とかの権限で」
「そーだよ、拒否っちゃえばいいんじゃん!」
「うちらも隣のコートで気分悪いもんね!」
また2年生がヒートアップする。
「落ち着いて。また明日来るかわかんないけど、ちょっと様子見てみようと思うから。時間かかるかもしれないけど、根気よく話せばわかってくれるかもしれないし」
なだめようとしても
「んなわけないじゃないですか!!ゆず先輩優しすぎですよ!!うちらの翔くん守ってくださいよ!!」
「うちらの翔くんじゃなくて、ゆず先輩の翔くんだし!」
「ご名答!!キャハハハ!!」
もう収集がつかない…。