その背中、抱きしめて 【下】
女バレのみんなと一緒に校門の近くまで行くと、いつも待っててくれるはずの高遠くんはいなくて、代わりに相川くんと桜井くんがいた。
私の数歩前を歩く2年生がそれに気づく。
「あれ?翔くんじゃなくて特待イケメンコンビじゃん」
「誰待ってんだ?」
(”特待イケメンコンビ”って…)
言われてみれば、そうなのかも。
相川くんは背も高くて(185cmちょいあるかも)スラっとしてるし、切れ長の目でスポーツマンっていうよりも知的な感じがする。
(なのに、喋ったら元気で明るいっていうギャップ)
桜井くんは目がクリっとしててカッコかわいい系。
頭撫でたらしっぽ振って喜びそうなんだよね。
ある意味、母性本能くすぐる小悪魔かも。
「おつかれー。翔くんはー?」
2年生が手を振りながら相川くんと桜井くんに高遠くんの所在を聞いた。
「お疲れっす。翔先輩は、えーと…」
桜井くんが言葉を濁す。
「翔先輩、俺たちにゆず先輩を送るように言って先帰りました」
相川くんが言い辛そうに早口で一気に言った。
そして、桜井くんがそれに続ける。
「内村と一緒に」
(な…!?)
「はぁぁぁ???内村と一緒!?何で!何であのクソガキと翔くんが一緒に帰って、ゆず先輩が置いて行かれてんだよ!言え、子犬!」
桜井くんより少し背が高い女バレの2年生が、桜井くんをヘッドロックした。
「ギャー!痛ぇ!マジ勘弁してください!!」
桜井くんがもがいて叫んで、数秒後に解放された。