その背中、抱きしめて 【下】



「マジで…」


鏡を見て愕然とする。


起きた瞬間からかなりの違和感はあったけど、目が腫れすぎてお岩さん状態。


「あ、おはよー柚香…ギャー!」


洗面所に入ってきたお姉ちゃんが叫ぶ。

「何その顔!目ぇ開いてないじゃん!」

「お姉ちゃん!これ何とかしてー」


お姉ちゃんに泣きつく。

こんなんじゃ学校行けないよー!



「どうしたの、もう」

お姉ちゃんが熱めのお湯で濡らしたタオルを目の上に乗せてくれる。

じんわりあったかくて気持ちが和んだ。


「3年生にもなると色々ね…」

「何言ってんだか」


お姉ちゃんならわかるかな。

聞いてみてもいいかな。


「男の人って、彼女いても積極的な女子に迫られたら乗り換えちゃうかなぁ」


「え、翔くん迫られてんの?」

「例えばだよ」


お姉ちゃん食いついてくるなぁ。


「男の意思にもよるんじゃない?その女に全く興味なきゃ靡かないし、あわよくばってちょっとでも思えば乗り換えるか一発ヤッちゃうか」

「ヤッ…!?」


タオルが落ちないように上を向いてたけど、お姉ちゃんのとんでもない言葉に飛び起きてタオルが落ちた。



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