その背中、抱きしめて 【下】
ふと気が付いて、ゆっくり目を開ける。
カーテンレールと天井。
ここは…
「気が付きました?」
声がした方にゆっくり顔を向けると、そこには相川くんの姿があった。
「あれ…私…」
ここは保健室?
どうして私、ベッドに寝てるの?
記憶を手繰り寄せる。
今朝、目が腫れててお姉ちゃんにタオルを当ててもらって。
登校途中にさくらちゃんに会って。
それから…
記憶が蘇る。
そうだ。
さくらちゃんに「見ちゃダメ」って言われたのにムリヤリ見た。
高遠くんと内村さん。
急に涙が溢れ出す。
横向いたまま、相川くんを見たまま、涙がどんどん溢れ出して枕を濡らした。