その背中、抱きしめて 【下】
私の個人的なことで、色んな人に迷惑かけちゃってる。
相川くんなんて授業サボって私を家まで送ってくれたし。
何も考えられないフワフワ状態から少し冷静さを取り戻して、自分の弱さと周りへの申し訳なさに涙が出た。
とりあえず寝よう。
それでもっと落ち着こう。
高遠くんのことも内村さんのことも考えないように。
2人のことを自分の中で消化するのは、ちゃんと冷静になってからだ。
(さくらちゃんにLINE送っとこう)
ずいぶん心配かけちゃったから、無事に家に着いたことを知らせなくちゃ。
『今、無事家に着いたよ。心配かけて本当にごめんね。羽柴くんと桜井くんにも謝っておいて』
LINEを打ったら何だか体がだるくて、ベッドに横になった。
ピロリン。
LINE受信音で目が覚める。
(あ、寝ちゃってたんだ…)
スマホの画面を見ると、さくらちゃんからの返信だった。
部活の前に送ってくれたみたい。
『うちらのことは気にしなくていいよ。何も考えないでゆっくり休みなね。来週の月曜は修旅の班決めだって!』
さくらちゃんとは3年連続同じクラスっていうミラクルが起こった。
羽柴くんは隣のクラスになっちゃったけど。
(そっか…再来週は修学旅行か)
修学旅行は2年生で行く学校が多いけど、なぜかうちの学校は3年の4月。
行き先は北海道。
高遠くんと内村さんから離れられるから、5泊6日気が楽かも…。